

モダンな街灯、建物や看板、人力車などに見とれて歩くうちに着いたのは、映画の1シーンのような旧手宮線跡。
そして10分後には、小樽運河に到着した。一見して歴史を感じられる倉庫とガス灯がずらり。運河にはとうとうと水が流れ、風が吹き抜ける。

運河沿いを軽やかに歩き、途中、新鮮な海鮮ランチに舌鼓を打ったら、「北のウォール街」へ。デコラティブな装飾、アーチを描く窓、積み重ねられた外壁などは、どこか異国風。見るからに重々しい鉄の扉は深い色に変色し、長い時の流れを感じさせる。
思わず触れて、その素晴らしさを友に伝えようと横を見ると、同じように彼女もそっと手を伸ばしていた。





そして私たちは、さらにレトロな街並みを体感しに、堺町本通りへ足を向ける。道の両側に、和洋折衷の建物。洋風の窓に、和風の瓦屋根。アイアンレースの窓飾りがあるかと思えば、筆文字で書かれた看板がある。
でも、不思議と調和は取れている。
その通り沿いにあった老舗のガラス屋さんにふらりと入ってみる。光を受けて柔らかく輝く精巧なランプシェードにうっとり見とれ、横にあったステンドガラス風の手鏡にも目移りする。あれこれと迷いながらも、私はグラスセット、彼女はフットランプを自分用のお土産に選んだ。
小腹の空いた私たちはカフェに寄り、ケーキセットをいただく。

カフェを出て、澄んだ空気を思い切り吸い込み、また歩き出す。夕焼け空の下、もう一度小樽運河へ。昼間とは違い、運河のガス灯には明かりが灯っていた。冬になると雪で作ったキャンドルも並び、よりいっそう美しく、幻想的になるという。そんな光景も見てみたいね、と話すうちに、辺りはすっかり夜色に染まっていた。
寿司屋通りでお腹を満たしたら、駅前のホテルへ。




すっきりとした外観とはうらはらに、ロビーでは、ステンドグラスのランプやアンティークなチェアーが私たちを出迎えてくれた。


疲れていても、お部屋に着くとやはりわくわくする。ドアを開けると、畳にベッドのある和洋室。街と同じく、ここも和洋折衷の心地よさが溢れている。ジャケットやマフラー、バッグの重さから解放されて、畳でごろごろ。
ささやかだけど「日本人で良かった」と思う瞬間。
ホッと一息つき、お部屋をぐるりと見て回った後は、さらなる「日本人で良かった」を味わいに大浴場へ。小樽にも温泉が湧くらしく、ここのお湯は天然温泉。広い湯船につかると、今日一日の旅疲れもフワーッとお湯に溶けだしていくような感じがする。
外の風を感じながら入れる岩風呂に移動すると、秋の夜風の冷たさと、お湯の優しい温かさのバランスが絶妙。

部屋に戻ってからは、湯上がりの心地よい気だるさに導かれ、すぐにベッドへ。夢の中でも、レトロな小樽が見えた。

